国内

日銀・大規模緩和維持へ 令和3年度の物価上昇見通し2%に届かぬ公算

 日本銀行は25日、2日目の金融政策決定会合を開いた。現行の大規模な金融緩和策を維持する方針。併せて公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」では、新たに示す令和3(2021)年度の物価上昇率について、目標に掲げている2%には届かないとの見通しを示す方向で調整する。

 会合では米中貿易摩擦の緩和期待や中国政府の積極的な財政政策により今年後半にかけて景気が上向くというシナリオに狂いがないか点検。「緩やかに拡大」しているとの国内景気判断は維持するとみられる。

 物価見通しは世界経済の減速や携帯電話の通信料引き下げの影響を踏まえた結果。総務省が発表した3月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比0・8%上昇にとどまる。NTTドコモは通信料を最大4割値下げする料金プランを発表しており、各社が追随すればさらに物価の重しになる。

 一方、令和元(2019)年度の経済成長率の見通しについては、中国経済の減速による国内企業の輸出・生産の停滞を受け、1月に示した0・9%から引き下げる可能性もある。

 世界経済の減速感が国内景気を下押ししている状況は既に明らかになっている。日銀の今月の地域経済報告(さくらリポート)では、中国からの受注減で半導体などの生産が弱含み、全国9地域のうち東北、北陸、九州・沖縄の3地域で景気判断を下方修正した。

 黒田東彦総裁は25日午後に記者会見を開き、政策運営や経済・物価情勢について見解を示す。 

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