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ボーイング墜落で浮かぶ米当局と航空業界「近すぎる関係」 (2/3ページ)

 スコベル氏はそう述べると、FAAが737MAXを認可した過程を調査することを表明。2件の墜落の要因として指摘されているMCASについて、ボーイングが導入を決めた経緯やFAAによる承認の判断についても検証する意向を示した。

 公聴会で特に問題視されたのが、FAAの安全認証業務をメーカーが代行できる「ODA制度」だ。航空機材や搭載する装置に関する高度な専門知識を有するメーカーのうち、FAAが十分な安全管理体制を持つと認めた場合、メーカーの申請を受けて、FAAがODA制度の対象企業を認定する。

 新型機の認可を当局に申請するメーカー側が、当局に代わり自ら安全性を検証する仕組みといえるが、同小委員会のクルーズ議長(共和党)は「業界と当局の密接な関係が(安全管理)システムへの信頼を損なう恐れがある」と警鐘を鳴らした。

 エルウェル氏は、ODA制度が「60年以上、行われてきた」と述べ、実績に裏打ちされた仕組みだと強調。「FAAはODA制度の参加企業のすべてに極めて厳格な監督(態勢)を敷いている」として擁護した。

 また同氏は、ODA制度は欧州でも積極的に採り入れられており、同制度がないと仮定した場合、FAAは対応に1万人の増員と18億ドル(約2000億円)のコスト負担を要するとの試算を明らかにした。

 実はODA制度について、FAAを監視する立場である運輸省の監察官は、「リスク管理」の観点から問題視する姿勢を以前から示していた。スコベル氏は公聴会で、ODA制度のもとでのFAAの監督実績を検証した結果、「管理面での弱みが判明した」と指摘。2015年にFAAに改善を求める報告書をとりまとめたという。これを受けてFAAも、検査体制を大幅に見直す改革案を7月までに策定する方針だが、2件の墜落事故を機に、航空業界とFAAとの関係に向けられた疑念は容易に払拭できそうにない。

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