政府が5月の月例経済報告で景気の緩やかな回復を維持したことで、与党内では予定通り10月に消費税率が10%に引き上げられるとの見方が強まっている。安倍晋三首相は24日の衆院厚生労働委員会で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り(増税の)予定に変わりない」と重ねて強調した。
月例経済報告の発表を受け、公明党の石田祝稔(のりとし)政調会長は記者団に「(10月の消費税率引き上げを)変える要素はない」と述べた。自民党幹部も「増税の先送りはない」と断言した。
増税延期論は、首相に近い萩生田光一・自民党幹事長代行が示唆したことで広がった。ただ、2四半期連続のプラス成長となった1~3月期の国内総生産(GDP)速報値に加え、今回の月例経済報告も景気の回復を確認したことで、延期の見方は弱まっている。
自民党の二階俊博幹事長は22日の講演で、増税延期を争点にした衆院の解散を「愚の骨頂だ」と指摘。増税による税収を財源にする幼児教育無償化などが実現できなければ「自民党は袋だたきになる」と述べた。
与党内には、野党の内閣不信任決議案提出や憲法改正などを理由に首相が衆院を解散し衆参同日選に踏み切るとの見方は根強い。
首相は月例経済報告の発表前に開かれた衆院厚労委で、増税を延期した場合の対応について「基本的には信を問うことは考えていないが、そのときの状況によるので一概には答えられない」と述べた。