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大麻合法化の波、「最大の消費地」でも陰り 解禁州では問題続出 (1/2ページ)

 米国で進む娯楽用大麻の合法化の波に陰りが見え始めている。年内の合法化を目指していた東部ニュージャージー州は公共の安全への影響を不安視する声が高まり、法案の可決を断念。「最大の消費地」とされるニューヨーク州でも年内解禁が暗礁に乗り上げている。州政府にとって合法化によって税収増が見込めることは魅力だが、大麻解禁をめぐる議論は米国でも容易ではないことが浮き彫りとなった。

税収の使い道で対立

 「成人の娯楽用大麻を合法化にしよう」。昨年11月に3選を果たしたニューヨーク州のクオモ知事(民主党)は同12月、「就任後100日間の課題」として2019年中の合法化を目指す考えを示した。

 ニューヨークでは医者の処方箋がある場合の医療用大麻は認められているものの、娯楽用は禁止。クオモ氏はかつて「他の薬物の入り口となる」と消極的だったが、他州の合法化を受け「考えが変わった」としている。

 だが、米紙ニューヨーク・タイムズによると、年内解禁の「期限」となる州議会閉会の6月19日が近づく中、合法化の機運は盛り上がっていないという。その理由として同紙は、警察をはじめとする法執行機関や学校の保護者会などからの根強い反対に加え、合法化推進派の間で税収の使い道をめぐって対立が起きていることを挙げている。

 同州が大麻合法化で見込む年間の税収は約2億5000万~6億8000万ドル(約280億~750億円)に上る。

 その使い道として、州議会の推進派議員らは、「これまでの薬物捜査で不当に標的にされた黒人やヒスパニック(中南米)系などマイノリティーの地域社会に税収の一定率を還元すべきだ」と主張。これに対してクオモ氏は、マイノリティー社会への投資には同意するとしつつも、老朽化による遅延や混雑が常態化している地下鉄など公共交通の整備に相応の税収をあてたい考えを示し、隔たりがあるとされる。

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