--先月27日、日米首脳会談が行われた
元号が令和に変わって初めてとなるトランプ米大統領を国賓として迎え、安倍晋三首相とのゴルフや大相撲観戦、高級炉端焼きでの食事など、厚遇ぶりが際立ちました。
会談では、拉致被害者家族との面会を含めて北朝鮮問題についても話し合われ、安倍首相が無条件で金正恩党委員長と向き合う考えを示したのに対し、トランプ大統領は「全面的に支持する」と応じています。
ただ、国政選挙を前に外交的成果を急ぐあまり、非核化交渉について北朝鮮側に主導権を握られることは、あってはならないことでしょう。
--今月29日には、大阪で日露首脳会談が行われる
安倍首相とプーチン露大統領との会談は26回目。難航している日露平和条約交渉がどこまで進展するかが注目されます。昨年11月に行われた会談で、安倍・プーチン両首脳は1956年の日ソ共同宣言を基礎に、平和条約締結交渉を加速させることで合意していました。しかし今年1月に開催された会談では具体的な進展が見られず、それ以降も足踏みが続き、日露関係は停滞感が漂っています。
北方四島返還の手段として戦争に言及した丸山穂高衆院議員の発言をめぐって、衆議院で糾弾決議が可決されていますが、大局的な議論を置き去りにし、一国会議員の発言に終始する国会の現状は、残念極まりありません。日本にとって、北朝鮮や中国の後背部にあるロシアとの関係構築は、国防上極めて重要で、喫緊の課題です。
平和条約の締結は、北方四島をどう扱うかが焦点です。北方四島はわが国固有の領土であるのは言うまでもありませんが、終戦についての認識の相違もあって、「北方領土返還を前提」とした場合、平和条約の交渉は難航し続けることが想定されます。
また、日ソ共同宣言に沿って日本に歯舞、色丹の2島が返還され、領土問題の幕引きを図ろうとしても、ロシアにとっては、その2島返還は防衛上、大きな打撃と映ります。それはロシアの軍事的要衝に、米国のミサイルが並ぶという状況が想定されるからです。しかし、日本としては「領土問題をいったん棚上げしてでも」という立場で、日露平和条約締結に向けた交渉に当たるべきだと考えます。
日露関係を推進させることは、ロシア極東地域での経済交流など、両国にとってウィン・ウィン関係を構築することにつながりますが、何よりも、今後、ロシアが中国に接近することにでもなれば、「第3次世界大戦」の構図が作られることにもなりかねません。
今月28日からは、大阪で20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)が開催されますが、その際に日露や米露、米中など2カ国間の首脳会談も並行して開催されます。
トランプ政権のロシアゲート疑惑が払拭され、貿易戦争を主戦場として米国が中国の覇権主義への対決姿勢を強める今、日米露による3首脳会談を開催するなどして対中包囲網について議論し、その枠組みの中で日露平和条約の実現を目指せないものでしょうか。
安倍首相の在職日数は歴代3位となりましたが、外交では成果がなく、「接待外交」の域を出ていません。日露平和条約の締結は、まさに政治生命を懸けた大事業でしょう。日本は、侵略的な対外膨張を続ける中国や北朝鮮を、日米を基軸としながらインド、台湾、韓国、オーストラリアに、ロシアも加えて包囲し、自由、民主、信仰という価値観を受け入れるよう促していくことが筋です。今回がラストチャンスでしょう。選挙前の失点隠しや保身に走ることなく、万難を排して、日露平和条約の締結により、世界の秩序と平和を守るための「決断」を下していただきたいと思います。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。国学院大学文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。