海外情勢

タイ親軍政権、基盤固め着々 月内にも組閣、懸念少ない議会運営 (3/3ページ)

 あらゆる争訟の終着点に存在するのが、タイの憲法裁判所だ。憲法裁には政党の解党や身分の失職を命じることもできる強い権限が与えられており、仮に異議があったとしても判決は覆せない終審判断となる。先の選挙期間中に、ワチラロンコン国王の姉、ウボンラット元王女を擁立しようとしたタクシン派のタイ国家維持党が、いとも簡単に解党処分を受けたことは記憶に新しい。

 経済発展か混乱か

 さらに、プラユット新内閣を側面から支えているのが、同じ軍人出身の顧問官が過半数を占める枢密院の存在だ。枢密院は法律案や憲法改正案の認可権限を持つ国王に対し、意見を付して奏上できる唯一の機関。法律案などが国会を通過し、90日を経過しても国王が認可しない場合、当該法案などは再審理を求められることになり、ここでも軍出身の政権与党の意向はくまれやすい。

 プラユット新首相は国王の任命を受けて臨んだ演説の中で、汚職撲滅と格差是正を進める一方で、「国の経済的社会的発展に邁進(まいしん)する」と力強く語った。念頭にあるのは、タイの産業高度化政策「タイランド4.0」や、東部3県の経済特区「東部経済回廊」建設があることは想像に難くない。そしてそれは、万全な政権運営体制の中でさらなる混乱か経済発展かの選択を国民に突きつけ、牽制(けんせい)しているようにも映るのである。(在バンコクジャーナリスト・小堀晋一)

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