メディアによる米国批判は、国際世論の支持を得るためだけでなく、国論の統一を狙ったものでもある。だが、国内には異論もあるようで、それが「投降派」批判となっている。
「人民日報」(6月11日付)の署名論評は、「ごく少数の人たちの『米国恐怖症』や『米国崇拝症』は、かつて列強に侮られた投降派に一脈相通ずるところがある」と批判している。また、国営新華社通信(6月13日)の署名論評は、米国崇拝論や米国恐怖論を唱える人たちを「骨軟化症」だと批判している。
習近平は今月、ロシアや北朝鮮を訪問し、キルギスでの上海協力機構(SCO)首脳会議に出席するなど、活発な訪問外交を展開し、例えば、プーチンとの間では、単独主義や保護主義に反対するとして、米国批判で足並みをそろえている。
今週末の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)で、習近平とトランプがどのようなパフォーマンスをみせるのか、それが貿易戦争の今後を占う上で当面の焦点である。(敬称略)