国内

日米首脳会談、貿易交渉加速を再確認 トランプ氏は対日赤字に不満

 3カ月連続となった日米首脳会談では、両国が貿易交渉を加速させることを再確認した。一連の会談では、来年の大統領選前の成果を要求する米国に対し安倍晋三首相が早期妥結を目指すとして配慮する一方、トランプ米大統領も参院選後の決着を求める日本に理解を示した。だが、トランプ氏は28日の会談の中で改めて対日貿易赤字に不満を示し、日本政府内には米国の強硬姿勢が強まることへの警戒感が広がる。(大柳聡庸)

 トランプ氏は来日直前、日米安全保障条約が「片務的」と不満を表明。会談の冒頭でも「貿易や軍事の話をする」と述べた。ただ、日本政府高官によれば、貿易と安保を関連付けた議論はなかったという。

 それでもトランプ氏は対日赤字に言及した。これに対し首相は、日本企業による米国投資で「4万7千人の雇用を創出した」などと説明し、トランプ氏も評価したもようだ。

 だが、今後の交渉が一気に進展するかは見通せない。農産品や工業品の関税引き下げをめぐり、主張に隔たりがあるからだ。

 米国は離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準まで農産品の関税引き下げを要求する。一方でTPPで日本に認めた自動車などの工業品の関税引き下げや撤廃については拒否。これに対し日本は「TPPのいいところ取りは認めない」(政府高官)とし、工業品の関税引き下げなどを要求している。

 28日には茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表による閣僚級協議も行われ、関税引き下げに向けた事務レベルによる具体化作業を7月から加速させることで一致。茂木氏は「詰めるべき論点は絞られてきた」と述べた。

 今後の大きな節目は、9月の米ニューヨークでの国連総会に合わせて想定される日米首脳会談だ。    

 日本は選挙への影響を避けるため「貿易交渉の決着は参院選後」という成果を得たが、米国に借りを作る形にもなった。再選に意欲を示すトランプ氏が支持率低下に悩むようなことになれば、対日圧力を一気に強める恐れがある。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus