国内

2年連続で過去最高へ 平成30年度税収60兆4000億円

 財務省は2日、平成30年度の国の一般会計決算概要を発表した。税収総額は前年度比2・7%増の60兆3564億円で、バブル期の2年度の約60兆1059億円を上回り過去最高となった。補正後予算額の見積もり(59兆9280億円)からは4284億円上振れした。国内の景気回復や海外経済の好調を受け所得税、法人税、消費税の基幹3税がそろって増収となった。今年10月には消費税増税があることから政府は令和元年度予算で62兆4950億円の税収を見込んでおり、2年連続で過去最高を更新する見通しだ。

 平成30年度の税収増加の主な要因は所得税収が大幅に拡大したことだ。好調な雇用、所得環境を背景に税収が上向いたことに加え、大手企業グループの親子会社の間で大口の配当が発生し所得税収は5・4%増の19兆9006億円となった。企業の好業績を受け法人税収は2・7%増の12兆3180億円、個人消費が持ち直す中、消費税収も1%増の17兆6809億円となった。

 「ようこれまで戻りましたね、という感じだ」。麻生太郎財務相は2日の記者会見で感慨深げにそう語った。税収はリーマン・ショックの影響で21年にバブル後としては最低の38兆7330億円まで落ち込んだが、その後は26年に消費税率を8%に引き上げたことや、景気回復などで増加傾向が続いている。

 しかし、懸念材料もある。親子会社の配当は税法上非課税のため、30年度にいったん増えた約4000億円の所得税収は、令和元年度に企業に還付され税収の下押し要因となる。また、米中貿易摩擦の影響が国内企業にも及び始めており、今年に入って法人税収が伸び悩むなど、税収の増加傾向にも陰りが見え始めているからだ。消費税増税も税収は増えるが個人消費が冷え込む可能性がある。

 税収が増えている一方で、国の借金である国債残高は増え続けているという問題もある。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「財政再建を進めるためにも、税収に頼るのでなく歳出改革に取り組むべきだ」と話している。

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