海外情勢

カンボジア、国内初の高速道は中国整備 政権の傾斜鮮明に

 カンボジアで、首都プノンペンと南部の港湾都市シアヌークビルをつなぐ国内初の高速道路(約190キロ)の建設が始まった。2023年の開通が見込まれ、物流の活性化に大きな期待が集まるが、約20億ドル(約2100億円)の整備費は巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱する中国が拠出。フン・セン政権の中国傾斜が一段と鮮明になった。

 シアヌークビルは大型貨物船が出入りできる国内屈指の国際港。現在は国道でプノンペンから片道約5時間かかるが、高速道路完成後は2時間半ほどに短縮される。

 内戦でインフラ整備が遅れたカンボジアにとって高速道路網整備は悲願。今年3月の着工式でフン・セン首相は「経済成長を押し上げる、重要な道路だ」と意義を強調した。

 整備を手掛けるのは中国政府系の「中国路橋工程」(CRBC)。建設後、50年かけて通行料金を徴収して運営し、巨額の投資を回収する。この方式が額面通り機能すれば、カンボジアは借金なしで物流の大動脈を獲得できる。

 整備・運営が円滑に進むのか、また、50年で利益が出せるのかを疑問視する声が上がり、中国の真の意図をいぶかる向きもある。着工式に出席した中国政府高官は「中国の投資はわなではない」と強調。フン・セン氏も「カンボジアが中国の支配を受け入れることはない」と訴えた。

 カンボジア経済は中国の下支えもあり近年好調だが、懸念も浮上している。縫製品の主要な輸出先である欧州連合(EU)が2月、フン・セン政権の野党弾圧に反発し、関税優遇措置停止の本格検討に入ったからだ。

 欧州の「脅し」に対抗できるよう、カンボジアを支援する-。4月に訪中したフン・セン氏は、習近平国家主席からこんな言質を取り付けた。しかし、高速道路建設に象徴される蜜月は、経済的な従属につながる危険をはらむ。

 世界銀行の5月の報告書は、カンボジア経済が中国からの直接投資や観光客に「ますます依存している」と指摘し、警鐘を鳴らした。(プノンペン 共同)

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