検証・ふるさと納税

過熱続く返礼品ビジネス 「手数料減る」仲介サイト、規制見越し囲い込み加速

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 高級ステーキ肉にウナギのかば焼き、ワインの詰め合わせ-。各自治体のふるさと納税の返礼品を掲載する仲介サイトは、まるでインターネット通販のようだ。仲介サイト最大手の「ふるさとチョイス」は約1400自治体の20万点以上の返礼品を取りそろえる。

 ふるさと納税の2018年度の寄付総額は5127億円で、制度が始まった08年度の60倍を超えた。急成長の背景には大手通信会社など10社以上が参入する仲介サイトの存在がある。

 食品や酒、家具といった品物を選び、クレジットカードの番号などを入力すれば手続きは数分で完了。早ければ数日後には寄付した自治体から自宅に返礼品が届く。ネット通販のような手軽さが人気を集めている。

 ただ、寄付額の1割超を手数料として受け取っている業者もあるとされ、自治体からは「東京の仲介サイト運営会社に公金が流出している」と不満の声も上がる。

 富裕層優遇との批判も根強い。独身者の場合、年収300万円で3万円前後、年収1億円で400万円前後と、収入が多いほど寄付の上限額が増えるためだ。ある会社経営者は「1年間で各地の自治体に計約3000万円を寄付し、500万円分の金券を含む多くの返礼品を受け取った」と打ち明ける。

 総務省は6月、返礼品について「調達費を寄付額の30%以下の地場産品」などとする新制度をスタート。金券など換金性の高い物品を禁じ、富裕層が節税対策として制度を乱用するのを避ける狙いもある。

 一方、サイト運営会社は「返礼品のうまみが薄れ、一時的に手数料収入が減る可能性がある」と見越し、利用者の囲い込みを加速させている。寄付額に応じて、ギフト券を配ったり、ネット通販や店舗で使用できる共通ポイントを付与したりしている業者も出ている。

 東京都内で4月に開かれた総務省とサイト運営会社の意見交換会。同省幹部は過度なポイント付与やギフト券配布を念頭に、各社に自粛を要請した。しかし、利益を上げようと制度の抜け道を探る業者側の動きは今後も続く可能性がある。

 神戸大の保田隆明准教授(金融論)は「競争の過熱が繰り返されないように、国の許認可を得たサイトだけを制度の対象にするといった厳しい対応が必要ではないか」と指摘した。

 過度な返礼品競争に終止符を打とうと6月に新制度がスタートしたふるさと納税。制度導入の背景や問題点などを検証する。

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