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「合意なき離脱」に現実味 欧州の協調体制後退も (1/2ページ)

 英国の与党、保守党の党首に選出されたジョンソン氏が首相の座を手中に収めた。欧州連合(EU)からの離脱問題をめぐって同氏は、EUとの合意があろうとなかろうと、期限である10月末までに離れると強硬に主張してきた。このため、EUとの間で条件を決めないまま英国が抜ける「合意なき離脱」の現実味が高まっている。

 もっとも現時点で筆者は「合意のある離脱」をメインシナリオと想定している。経済的な混乱などが生じる懸念から、英国民の多くは合意なき離脱を望んでおらず、英国議会でも、これに慎重な議員が多数を占める。世論や議会の圧力を背景に、同氏が態度を軟化させ、数カ月の離脱期限の再延長を経て、合意のある離脱に至ると見込む。

 ただし、これまでになく合意なき離脱の可能性が高まっているのは事実だ。議会が同氏の強硬路線を軌道修正するための最終手段は、内閣不信任案を出すことだ。しかし、足元で支持率が急落している保守党や野党の労働党の議員が、選挙で議席を失うことを警戒し、不信任案提出に消極的になれば、結果として合意のない離脱になってしまう恐れがある。

 合意なき離脱に備え、英国とEUは既にさまざまな対策を公表している。英国は輸入品の多くを暫定的に無関税とするほか、EUが第三国・地域と締結している通商協定の継承も目指している。EU側も運輸、交通などの分野で、英企業が新たに許認可を取得することなくEU域内でサービスを継続できる措置を導入するとしている。

 だが、こうした措置は1年程度の期限付きであり、一部の分野に限られる。さらに英国のEU向け輸出について、EUは特別な措置の導入を依然決めておらず、このままでは英国からEUへの輸出には、EU以外の第三国向けと同様に、関税や通関手続きが生じることになる。異例の事態であり、さまざまな緊急時対応が十分に機能するのかという懸念も拭えない。

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