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日米貿易交渉 トウモロコシ250万トン追加輸入

 日米両政府は25日、フランス南西部ビアリッツでの首脳会談後に開いた共同記者発表で、貿易交渉で大枠合意し、9月末の協定署名を目指す意向を示した。早ければ年内にも発効する。米側は日本に輸出する自国産の牛肉や乳製品など幅広い品目が関税撤廃や削減の対象となると説明した。米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の水準が上限の見込みだが、合意内容を明らかにしていない点が多く、行方が焦点。国内農家には試練となる。

 日米両首脳が合意した米国産トウモロコシの購入については、民間企業が9月以降、輸入を前倒しし、飼料用約250万トンを追加輸入する見通し。年間輸入量の約3カ月分に当たる。日本国内で新たな害虫の発生が確認されたことから、備蓄を積み増すという。

 日本が攻めの分野と位置付けた工業製品について、茂木敏充経済再生担当相は25日の会見で「日本の関心に沿った関税撤廃、削減が実現する」と述べ、米国から一定の譲歩を引き出せたとの考えを示した。「日米双方にとって利益になる」と強調したが、撤廃、削減対象となる具体的な品目は明かさず、9月末に公表する考えを示した。

 品目ごとの関税引き下げ幅についても現時点では言及を避けた。

 自動車の関税撤廃は見送られたが、トランプ米大統領は安全保障上の脅威を理由に導入をちらつかせていた自動車への追加関税について、発動しない意向を示した。

 農産物は牛肉、チーズをはじめとする乳製品に加え、豚肉、小麦、ワインなどが対象になる。米国は日本を主要輸出先としており、ライバルとなるオーストラリアやカナダなどTPP発効国と比べて不利な状況に陥ることを危惧していた。

 米国産牛肉は現在38.5%の関税がかかっているが、TPPでは最終的に9%まで下げることで合意。豚肉は高価格帯にかける4.3%の関税を10年目にゼロにした。今回の協定でもこれが上限となる見通し。ワインは当初、対象から除外する方針だったが含めることで一致した。

 コメについて日本側はTPPで設けた7万トンの無関税枠を減らしたい意向だが、現時点での調整内容について明らかにしていない。

 政府は当初、首相とトランプ氏が最初の首脳会談後に再び会談したと発表。その後、西村康稔官房副長官は2度目は会談ではなかったと訂正した。 (ビアリッツ 共同)

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