経済インサイド

レジ更新CMに国民的アイドル起用も、「増税」周知する広告を流せない事情 (2/2ページ)

 そんな状況だったにも関わらず、増税直前になってようやく軽減税率への対応を促すCMを流し始めたのは、7月の参院選を意識したためといわれている。「たとえ軽減税率を意識させた広告だったとしても、少しでも増税を連想させる宣伝をすれば家計負担が重くなるイメージを有権者に与えかねない。そうなると投票結果にも影響する」(前述の幹部)。そう考えた政権が積極的なPRを避けたというのだ。

 また、ここに来て軽減税率対応レジへの切り替えばかりを訴えるのも、「『増税』よりも『軽減』という単語を使った方が、国民の痛税感が和らぐ効果がある」(同)との皮算用だ。

 さらに、別の政府関係者によると、消費税増税の使途や目的を周知する広告を作成するために「人気タレントを起用する案があった」と明かす。だが、「増税は国民からの反発もあり、イメージ悪化にもつながりかねないとの理由で多くのタレントに断られた」という。「軽減」に関するCMは受けても「増税」を連想させるものは避けたいというのは、タレント側も同じなのである。

 振り返れば、消費税率が5%から8%へ引き上げられた平成26年の前回の消費税増税時には、軽減税率の導入がなかったとはいえ、増税分の使途や目的などを周知する広告にあふれていた。増税の前月には、「増税分5兆円はすべて子育て・医療・介護・年金といった社会保障のために使われます」などと書かれたA3版カラーの4ページ構成の新聞チラシを配布し、税の使途から負担軽減のための給付金の説明まで丁寧に説明がなされていた。

 増税後も、当時の人気子役の芦田愛菜ちゃんを起用し、増税効果をアピールするテレビCMが茶の間をにぎわした。とはいえ、このときも子供の無邪気さを利用し、増税批判をかわそうとする政府の“あざとさ”のようなものを感じたものだが…。

 10月に控える消費税増税では、軽減税率制度や増税に伴う幼児教育の無償化、プレミアム商品券の発効やポイント還元制度など多くの施策が実施される。これまでの増税時に比べても説明すべき事項が多くあるはずだ。国民的アイドルを起用したレジ更新を促す広告効果も気になるところだが、まずは国民目線を意識した丁寧な周知が必要なのではないのだろうか。(西村利也)

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