高論卓説

オーバーツーリズムという新しい悩み 入り込み数管理、全国に観光客分散を (1/2ページ)

 あまり政府の政策を褒めることはないが、これは今のところうまくやっていると言ってよいだろう。観光庁の訪日観光客誘致策のことだ。 

 2020年までに4000万人という目標を立て、「Visit JapanやCool Japan」などのプロモーションを実行して「Coolな(かっこいい)」日本イメージを売り込み、入国ビザの緩和など硬軟取り混ぜた活動で目標を達成しつつある。

 観光は世界最大の産業である。近隣諸国や未知の世界を訪れ、土地の文化、歴史や人々と触れ合い、相互の理解と友好を深める平和産業だ。

 ところが、今度は作戦が成功しすぎ、結果としてインバウンド客が偏った地域だけに集中し、そこだけに観光客があふれるオーバーツーリズムと呼ばれる深刻な副作用が出てきた。

 例えば、人口150万人の京都には日帰りや国内客、それに急増する海外客を合わせ年間5000万人が押し寄せる。最近では乱立する民泊施設と狭い路地にたむろする若者、慢性的な交通渋滞と満員バス、ごみ出しルール無視や騒音など全て観光に関係ない地元住民が被害者になっている。海外の観光地でも近年同様な事態が起きており、スペインのバルセロナやイタリアのベネチアからも似たような例が報告されている。

 オーバーツーリズムで懸念されることは、観光資源、つまり日本の価値が毀損(きそん)されることだ。皮肉にも長い間努力して築いたブランドが、自らが招いた客によって破壊されてしまう。観光政策とは経済性(外貨獲得)の最大化にあるが、経済性だけを重視しすぎれば、結果として地域の景観や雰囲気を壊し自分の首を絞めることにもなる。

 富士山には年間30万人以上が訪れる。夏にはラッシュアワー並みの混雑になるから、当然自然形態に悪い影響が出る。世界遺産ペルーのマチュピチュの名峰ワイナピチュにも世界中から人が集まるが、1日400人しか入山を許されず、1人から約3500円の料金を徴収している。富士山でも入山料を徴収すれば、登山者数は半減だろうから自然破壊は軽減される。しかも新たな収益を自然保護や登山者の安全対策へ当てられる。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus