両立支援の講演もこなす根岸さんは「中小企業だからこそ経営者が一人一人の体調に目を配れる」と伝えてきた。「がんに限らず、健康診断で異常があればきちんと通院しているかどうか確かめるまでが経営者の役目。体を大事にする社風をつくることから始めてほしい」と語った。
小冊子を無償提供
企業アクションの参加企業・団体には、がんの予防と検診の大切さを分かりやすく解説する小冊子が、社員数だけ無償提供される。ニュースレターも配信され、ウェブサイトでは先進事例なども紹介され、具体的対策が学べる。
中川さんは、子供へのがん教育が制度化された現在、企業が大人へのがん教育の場になることを期待する。「治療の選択肢が広がり、がんについて知っておくことがその後の運命を決めることにもなる」からだ。
中川さんはまた、がん対策が企業の価値を高めることを強調する。「がんは誰もがなり得る病気。若い人も明日はわが身として、患者がどう処遇されるか、じっと見ている。社員の健康を大事にする、経営者の姿勢が問われている」と話した。