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「老後2000万円報告」撤回へ 金融庁、案のままHP掲載続行

 金融庁の金融審議会が、95歳まで生きるには夫婦で約2000万円の蓄えが必要とした老後資金報告書を撤回することが分かった。25日の総会で「今後は報告書を議題としない」ことを決める。報告書は「案」のまま放置し、「公文書の隠蔽(いんぺい)だ」との批判を封印するため、金融庁のホームページ(HP)への掲載を続ける。

 報告書案は金融審の市場ワーキング・グループがまとめ、6月3日に公表した。金融庁は、10月4日に召集予定の臨時国会前に撤回を決めることで、これ以上、報告書への反発が広がらないようにしたい考え。ただ野党からの追及を封じ込めることができるかどうかは不透明だ。

 報告書をめぐっては、野党が「国民の将来不安をあおる」として一斉に批判し、金融庁は幹部が国会で謝罪する事態に追い込まれた。諮問した麻生太郎金融担当相が受け取りを拒否したため、金融審は内容を修正することも断念し、取り扱いが宙に浮いていた。

 金融庁は高齢化が進む中で老後資金を計画的に蓄える重要性は変わらないとしている。来春以降に別の報告書を策定することを目指すが、公的年金や老後の必要な資金額には触れず、資産形成を担う金融機関に「顧客本位の業務運営」を根付かせるための具体策を柱に据える。こうした方針を25日の総会で確認する。

【用語解説】老後資金報告書

 金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループが6月3日に「案」として公表した報告書。正式名は「高齢社会における資産形成・管理」。男性65歳以上、女性60歳以上の夫婦だけの無職世帯は平均で毎月、公的年金を中心とする収入が支出を5万円下回る「赤字」になると試算。この夫婦がさらに20年生きると約1300万円、30年の場合は約2000万円、預貯金などの金融資産を取り崩す必要があると指摘した。

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