安倍晋三首相は24日(日本時間25日)、国連総会の一般討論演説を行い、北朝鮮による日本人拉致問題の解決に向け、金正恩朝鮮労働党委員長に首脳会談実現を呼び掛けた。「条件を付けずに金委員長と直接向き合う決意だ」と述べた。サウジアラビアの石油施設攻撃をめぐり「国際経済秩序を人質にする卑劣極まる犯罪だ」と非難。米イラン対立で緊迫化する中東情勢への懸念も示した。
演説で首相は、北朝鮮の非核化を目指して金氏との会談を重ねるトランプ米大統領を支持。「首脳同士が胸襟を開き、未来に光明を見て目前の課題を解こうとするやり方は、北朝鮮をめぐる力学を変えた」と指摘した。
拉致、核、ミサイル問題といった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現させることを「不変の目標」と位置付けた。
首相は、サウジ攻撃の実行主体について自らの見解を示さなかった。米国がイランの関与を主張する中、日本は伝統的にイランと友好関係にあり、刺激するのを避けた形だ。国連安全保障理事会改革も改めて提起。8月の第7回アフリカ開発会議(TICAD)開催に触れ、対アフリカ投資を増やす重要性を強調した。(ニューヨーク 共同)