国内

痛税感緩和、2年前から着々と 携帯料金下げ、家計に配慮

 安倍晋三首相は平成29年の衆院選で消費税率10%引き上げを公約に掲げて勝利した後、実際の増税に向け、消費の反動減対策にさまざまな手を打ってきた。国民から増税への“お墨付き”を得ても、経済が失速すれば政権の安定運営は難しくなるからだ。今回は高止まりする携帯電話料金の値下げなど、家計に直結する改革にも取り組み、痛税感の緩和に努めている。

 首相はこれまで、景気に細心の注意を払って政権運営してきた。「官製春闘」で毎年の賃上げを主導するが、社会保険料の引き上げなど家計の支出増は続き、最近は米中貿易摩擦という海外の不安要因もある。

 このため、今回の増税にあたっては、景気の落ち込みを防ぐため硬軟織り交ぜた大胆な対策を進めた。

 携帯電話料金をめぐっては、菅義偉官房長官が昨年8月、訪問先の札幌市内で突然、「4割程度値下げできる余地がある」と発言した。直後には、料金引き下げの時期を増税のタイミングと重なる「来年10月ごろ」と明言した。

 菅氏は携帯大手3社の利益率だけでなく、幹部の年収や一等地のビルに入る賃料まで調べ、“もうけすぎ”をアピールした。携帯電話は「電気やガスと同じ生活インフラ」だとして政治介入との批判も封印した。

 そのうえで、解約違約金を9500円から1000円に引き下げや特定の携帯電話会社の回線しか使用できないように制限する「SIMロック」の即時解除の義務化など、電話料金の大幅値下げに道筋をつけた。

 中小事業者を対象に、キャッシュレス決済時に最大5%のポイントを還元することも官邸主導で実現した。増税幅を上回る還元率には「バラマキ」との批判がくすぶり、軽減税率の導入と合わせ、税率が複雑になることには混乱が広がる懸念もあった。

 しかし官邸側は、地方経済を支える中小事業者に配慮すべきだとし、消極論を押し切った。首相は30日、官邸で高市早苗総務相と面会し、増税に伴う地方対策に万全を期すよう指示。政府はポイント還元が終わる来年7月以降、マイナンバーカードにポイントを付与する新制度を導入するなど、増税後の景気対策にも努める考えだ。(小川真由美)

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