海外情勢

サウジアラビアの記者殺害から1年 事件風化、真相闇の中 (1/2ページ)

 【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビア政府を批判してきた反体制記者、ジャマル・カショギ氏=当時(59)=がトルコのサウジ総領事館内で殺害された事件は、2日で発生から1年となった。国連関係者やトルコはサウジの次期国王候補、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子(34)の関与の有無を含めて全容解明を求めているが、国際的な関心は乏しく、背後関係を公表せぬまま幕引きを図るサウジ側の思惑通りの展開となっている。

 皇太子は9月下旬放映の米テレビのインタビュー番組で、事件には「サウジの指導者としてすべての責任を負う」とする一方、自らの関与については「完全に否定する」と述べた。

 事件をめぐっては国連のカラマード特別報告者が2月、「サウジ当局により計画された残忍で周到な殺人」だとする声明を出した。トルコのエルドアン大統領は、カショギ氏がしばしば寄稿してサウジ政府を批判してきた米紙ワシントン・ポスト(9月29日付電子版)への寄稿で、殺人者らは外交旅券でトルコを出入りしたと指摘。「外交特権の露骨な乱用だ」とし、政府が犯行隠蔽(いんぺい)を手助けしたと批判した。

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