国内

違法操業、日本の漁業生産額に損失

 北朝鮮の漁船と水産庁の漁業取締船が衝突した「大和堆」は、北朝鮮など外国漁船による違法操業が後を絶たない海域として知られる。大和堆を含む日本の排他的経済水域(EEZ)内での違法操業は日本の漁業の生産額を大きく損なっているとみられており、対応が急務となっている。

 外国漁船による違法操業には市場に出回る水産物を増やし、価格下落をもたらす効果がある。東京海洋大の松井隆宏・海洋政策文化学部門准教授は、「違法、無報告、無規制(IUU)漁業」は長期的に国内漁業の衰退につながると指摘。仮にIUUの水産物を排除すれば、「日本の漁業の生産額が2・4~8・1%上がる」と試算している。

 ただ、この試算には、乱獲による日本の漁獲量減少など直接的な影響は含まれていない。日本船が違法操業する外国船を恐れ、違う漁場に行かざるを得ないケースなども考慮されておらず、松井准教授は「実際の影響額はもっと大きい」とみている。

 事態の改善には違法漁船の取り締まりに加え、「密漁品でないことを知らせる漁獲証明書の導入などの対策が必要だ」(松井准教授)といえる。

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