国内

韓国のWTO提訴で日韓対立長期化 決着つかぬ懸念も 

 日本の半導体材料の対韓輸出管理の厳格化をめぐり韓国が世界貿易機関(WTO)に提訴したことを受け、11日に行われた日韓の2国間協議は決着には至らなかった。双方の主張は平行線をたどっていることから協議では解決できず、裁判の「一審」にあたる紛争処理小委員会(パネル)に舞台を移す可能性が高い。日韓の溝は深く、「最終審」にあたる上級委員会までもつれることも予想され、対立は長期化が避けられない情勢だ。

 日本は7月に軍事転用の恐れが強いフッ化水素など半導体材料3品目の対韓輸出の許可審査を厳格化。その理由を日本側は、韓国の貿易管理体制や法令に不備があることや、「不適切な事案」が発生していることなどをあげ、「安全保障上の輸出管理の見直しで、禁輸でもない」(経済産業省幹部)と主張する。

 WTOには安全保障を理由に貿易制限ができる規定がある。また、審査が通った製品は、韓国向けに輸出されている実績もある。このため日本政府は「WTO協定と整合的だ」(菅原一秀経産相)と説明する。

 これに対し、韓国側はいわゆる徴用工判決と関連付け、「政治的な動機による差別的な措置だ」などと反発している。

 2国間協議で和解できなければ、韓国側はパネルの設置を要求する見通しだ。また韓国側は日本に譲歩する姿勢を見せておらず、仮に韓国がパネルで敗訴しても、不服として上級委に上訴する公算が大きい。提訴から上級委の判断が下るまで数年かかるケースも多く、日韓の争いは長期戦になることが不可避だ。

 しかも、上級委は機能不全が危惧されている。上級委の定数は7人だが、WTOに不満を持つ米国が委員の再任や補充を拒否。現在、委員の数は審理に最低でも必要な3人しかいない状況だが、さらに12月には2人の任期が切れる。

 定員割れとなっても審理中の案件は継続されるが、新たな案件は審理されなくなる。仮に今回の係争が上級委に持ち越されても審理されず、決着がつかなくなる懸念すらある。

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