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GDPを0・8%押し上げ 日米貿易協定で政府試算 自動車関税の撤廃前提

 政府は18日、日米貿易協定の発効による国内総生産(GDP)の押し上げ効果が約0・8%になるとの試算を発表した。昨年度のGDP水準で換算すると約4兆円に相当する。雇用についても約28万人増加すると分析した。ただ、試算は米国が日本の自動車と同部品に課す関税の撤廃を前提としている。想定通りの効果を得るためには、今後の米国との交渉で関税撤廃を決める必要がある。

 日米貿易協定は、米国が日本産の自動車と同部品に課している関税について、「関税撤廃に関してさらなる交渉を実施する」と記載した。同日会見した西村康稔経済再生担当相は、自動車などの関税撤廃を含めて経済効果を分析した理由について、協定が「(自動車などの)関税撤廃が前提になっている」と説明した。

 また、西村氏は「今後の関税撤廃時期などに関する交渉に悪影響を与えかねない」として、自動車と同部品を除いた経済効果を分析しない考えを示した。

 一方、協定によって、日本の農産品の生産額が約600億~約1100億円減少すると試算した。安価な米国産の牛肉や豚肉、乳製品の輸入が増えることが主な要因だ。対象となる農産品の国内生産額の合計は約7兆6千億円で、減少額は全体の0・8%~1・4%に相当する。

 政府は米国が離脱前の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のGDP押し上げ効果を2・6%、離脱後を1・5%と試算していた。西村氏は税関手続きの簡素化といったルールがないことや、「12カ国の相乗効果がない」ため、日米2国間で結ぶ今回の協定は、TPPと比べ経済効果が小さいと説明した。

 政府は15日に協定の承認案を今国会に提出。24日の衆院本会議で審議入りすることで与野党が合意した。

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