【ワシントン=塩原永久】20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は18日、2日間の日程を終え閉幕した。フェイスブックの暗号資産(仮想通貨)「リブラ」について、「不正利用や消費者保護のリスクに適切に対処」しない限り、発行を認めるべきでないとの認識で一致した。巨大IT企業を対象とした「デジタル課税」は各国の意見集約を急ぎ、先進国と新興国双方が集まるG20として早期実現の取り組みを全面支援すると確認した。
議長国・日本の麻生太郎財務相が記者会見し、リブラなどの仮想通貨に「深刻なリスク」があると指摘。マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金支援、消費者・投資家保護をめぐるリスクが解消されない段階での発行に「賛成した国はなかった」と語った。
先進7カ国(G7)はリブラを「最高水準の規制」を課す方向で7月に合意しており、新興国を含むG20も発行に、厳しい対処方針を共有した。フェイスブックが目指す来年前半の発行は困難な情勢だ。
G20は初日の17日に世界経済を討議。米中が貿易協議で暫定合意し、英国が離脱条件で欧州連合(EU)と合意したことを歓迎する意見が参加国から出た。世界経済は「拡大を続けているがスピードが弱まった」との現状認識を前提に、中東情勢などの不透明要因から「景気リスクは下向きに傾いている」(麻生氏)との見方で一致した。
デジタル課税では、経済協力開発機構(OECD)がまとめた新ルールの枠組み案の内容を下敷きに、2020年中の合意を目指した取り組みをG20が支援することを確認。来年のサウジアラビアの議長国のもとで、合意案の策定作業を加速させる方向となった。