国内

対応迫られてきた日本企業“ブレグジット疲れ”の声も

 英国の欧州連合(EU)離脱をめぐっては、離脱期限が設定されては覆される状況が3年間続き、英国へ進出している日本企業はその都度、対応に追われてきた。状況は依然として不透明で、在庫や関連コストが膨らんでいる日本企業の「ブレグジット(英国のEU離脱)疲れ」を指摘する声も上がり始めた。

 英国のEU離脱決定後、日本企業は現地の生産体制見直しを急いできた。

 自動車ではホンダが2021年に英国での完成車生産を終了すると発表。英国で排ガス浄化装置などを製造するユタカ技研も、ホンダ撤退に伴い生産終了を含めた規模縮小の検討に入った。自動車以外ではパナソニックが欧州統括拠点を英国からオランダに移管するなどしている。

 金融当局や金融機関も準備を進めている。合意なき離脱の場合、英国で金融業の免許を取ればEU域内どこでも営業ができる「単一パスポート」が移行期間なく失われる。このため、メガバンクなどは欧州大陸への拠点移転や営業免許の取得を済ませ、「円滑に事業が継続できるよう対策を取った」(大手銀行幹部)。

 政府も支援態勢を強めており、経済産業省は今月4日、日本貿易振興機構(ジェトロ)と共同で、英国で事業を展開する中堅・中小企業に対し、離脱後の円滑な通関手続きなどを支援する専門組織「ブレグジット対応サービスデスク」を立ち上げた。担当職員約200人を配置した。

 ただ、経済界からは「(日本企業に)ブレグジット疲れが、ややある」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)との声が上がる。離脱をめぐる結論が変わるたびに操業停止、在庫の積み増しなどに追われ、コストも膨らんでいるからだ。先行きは見えず、経団連の中西宏明会長も21日の記者会見で「困った状況だ」と困惑の表情をみせた。

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