海外情勢

フィリピン「第2の首都」開発着々 米軍基地の跡地、人口増のマニラを補完

 フィリピン政府が、首都マニラの北方にある米軍基地跡地で新都市「ニュー・クラーク・シティー」の開発を進めている。総額約140億ドル(約1兆5200億円)の長期プロジェクトで、行政機能の一部を移転し「第2の首都」を目指す。建設が先行する陸上競技場はほぼ完成。今後鉄道など交通網も整備し、一極集中や人口増加にあえぐマニラを補完させる狙いだ。

 マニラ北西約120キロにあるタルラック州カパス。所々未舗装の道をトラックやバイクが走り抜けるたび、泥が周囲に飛び散る。道の両脇に生い茂る草を牛がはんでいるのどかな風景の中に、巨大な競技場が姿を現す。

 完成間近の競技場は11、12月に開かれる東南アジア競技大会(シーゲームズ)の舞台。警備員の男性は「近代的な競技場は新都市のシンボルになるはずだ」と胸を張る。

 一帯にはかつてクラーク米空軍基地があったが、1991年に近くのピナトゥボ火山が噴火した影響で米軍が撤退した。政府は、9450ヘクタールという東京・山手線の内側面積の約1.5倍に相当する広大な跡地を再開発し、人口が過密状態にあるマニラの首都機能を一部移転させることにした。

 政府によると、競技場や中央政府行政センターのほか、政府職員用の住宅やホテル、商業施設などを建設する。2065年までに120万人の居住、80万人の雇用創出を見込む。6000ヘクタールは緑地や広場にする考えだ。

 近郊のクラーク国際空港では既に成田、関空便が就航。新都市とマニラ南郊のラグナ州を結ぶ163キロの鉄道路線も25年までに整備するという。

 新都市開発は日系企業にも商機となり、丸紅と関西電力、中部電力などはエネルギーを効率的に供給する次世代送電網「スマートグリッド」技術を活用した配電設備の設計や建設に乗り出す。

 息の長い計画だが、ドミンゲス財務相は「マニラは既に飽和状態で、大災害に見舞われたら首都機能は停止する。有事に備えて首都のバックアップや人口の分散は不可欠だ」と強調した。(カパス 共同)

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