海外情勢

フィリピン 女性だけの警察署発足の背景

 労働者にとって世界ワースト10入り、汚職指数は99位、ビジネス環境は124位…。各種機関や団体が発表する各国・地域のランキングで、フィリピンは不名誉な順位になることが多い。ところが高評価を維持しているランキングがある。男女平等度だ。

 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが昨年12月に発表した2018年版「男女格差報告」。北欧諸国が上位を占める中、フィリピンは調査対象149カ国中8位につけ、アジア勢では堂々のトップとなった。政権が「女性活躍」をうたう日本は110位と厳しい評価を受けた。

 確かにフィリピンでは女性の進出が盛んだ。政界では1986年にコラソン・アキノ氏が初の女性大統領に就き、現職のロブレド副大統領も女性。今年5月の中間選挙で当選した上院議員12人のうち、女性はトップ当選者も含めて5人いた。経済界での女性管理職の割合は50%を超える。

 日本では今年、職場でのパンプス着用を女性に強制しないよう主張する「#KuToo」キャンペーンが注目されたが、フィリピン政府は2017年に早々と、女性従業員にハイヒール着用の強制を禁じる行政命令を出しており、政府の対応も柔軟といえそうだ。

 中部の島では今年9月、署長以下21人が全員女性という警察署も発足。女性の活躍の場が広がる一方、さて男性は…。街中の光景を思い浮かべると、昼間からハンモックで寝ていたり、上半身裸で路上の賭け事に興じたりしているのは男性ばかりのような気がしてくる。ただ、人々の屈託ない笑顔を見ていると、過労気味の日本は、女性の活躍だけでなくマイペースな生活にも学ぶところがあるように感じる。(マニラ 共同)

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