日本銀行は31日の金融政策決定会合で、政策金利の指針「フォワードガイダンス」を見直し、追加的な金融緩和策が必要な場合は日銀が民間銀行の資金を預かる際に年0.1%の手数料を取る「マイナス金利」を拡大する可能性を示した。黒田東彦(はるひこ)総裁は決定会合後の記者会見で、物価上昇の勢いに「注意が必要な情勢にある」と指摘し、「緩和方向を意識した政策運営を行う日銀のスタンスを明確にする」と強調した。
新指針は「物価上昇の勢いが損なわれる恐れに注意が必要な間、現在の長短金利の水準、またはそれを下回る水準で推移することを想定している」と決定文に明記。来年春ごろまで、現在の超低金利政策を続けるという従来の内容から変更した。
決定会合では、2%の物価上昇目標の実現は遠く、短期金利をマイナス0.1%、長期金利を0%程度に抑える大規模な金融緩和は据え置くことを賛成多数で決めた。
今後3年間の経済と物価の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も見直した。2019年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)の上昇率は1.0%から0.7%に、20年度は1.3%から1.1%に引き下げた。原油価格下落の影響を反映させた。
実質国内総生産(GDP)の成長率見通しも下方修正した。米中貿易摩擦は緩和方向に傾いたものの、不確実性は残ったままだ。黒田総裁は「海外経済のリスクはさらに高まっている可能性がある」と述べ、国内経済や物価への影響を慎重に見極める考えだ。