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貿易摩擦は“別腹”で アフリカ豚コレラがもたらす中国胃袋問題 (2/2ページ)

 ASF問題は、米中の貿易摩擦の過熱と同時期に深刻化した。中国が米国の対中制裁関税(第1弾)に対する報復措置として、豚肉を含む米国の畜産物など約340億ドル規模の米国産品の輸入に25%の追加関税を賦課したのは、感染が発覚する約1カ月前の昨年7月6日だ。

 自らの「ディール(取引)」手腕を自負するトランプ米大統領は9月11日、自身のツイッターで、中国に対する追加関税税率を25%から30%に引き上げる時期について、国慶節の10月1日から15日へ2週間延期を表明。中国国営新華社通信は、米国からの一定量の大豆や豚肉などの輸入について、「追加関税賦課の適用除外措置を講じる」との政府方針を報じた。緩和措置の詳細は不明ながら、関税引き下げにより、中国の消費者は米国産豚肉を安く購入できるようになる。

 報復関税発動で“殴り合い”を続ける米中は、豚肉の輸出入で「ウィンウィン」の関係を構築し、貿易交渉でも建設的な議論を加速できるのだろうか。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は10月7日付で、そんな楽観論を牽制するように、ASFの深刻さを指摘した。中国政府は9月中に計3万トンの豚肉を政府備蓄から市場に放出し、全体では20万トンの備蓄体制があるとして、消費者不安の払拭に努めている。だが、中国で消費される豚肉は年間5000万トンで、世界で消費される半分の豚肉は中国人の胃袋に入っている。また、中国の豚肉のほとんどが国内産でまかなわれている現状を考えると、今年だけで3割、1600万トンの豚肉供給量の減少が、政府備蓄の放出や米国からの輸入で賄いきれるわけはなく、価格下落効果も見込めないのが実情だ。(吉村英輝)

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