【バンコク=大柳聡庸】日本や中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉の閣僚級会議が1日、バンコクで開かれた。目標とする年内の妥結に向け、関税撤廃など意見の隔たりの大きい分野を中心に詰めの協議を行った。4日には首脳会議を予定するが、年内妥結は予断を許さない状況だ。
会議に出席した牧原秀樹経済産業副大臣は終了後に記者会見し「4日の共同声明を出す方向性を確認した」と述べ、首脳会議で今回の協議の内容を説明する考えを明らかにした。
一部報道でタイの当局者が1日、妥結には「もう少し時間がかかる」と述べ、閣僚級会議では全ての分野での合意に至らなかったことを明らかにしたことに関しては、「今日の段階では残された相違があるが、建設的な議論がなされた」と述べるにとどめた。
今回は、公式会議の前に各国の意見を調整する“地ならし”のための非公式会議が急遽(きゅうきょ)決まり時間を費やした。結局、正式な会議は予定より約5時間半遅れて始まるなど議論は難航した。
年内の妥結に向け、鍵となるのがインドだ。対中貿易赤字に悩むインドは自国産業への影響を警戒し、関税撤廃や削減に慎重な姿勢を崩していない。