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RCEP再び妥結先送りで、関税撤廃交渉など漂流懸念

 【バンコク=大柳聡庸】東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉で、参加国が目標としていた年内妥結を見送る可能性が出てきた。関税撤廃など重要分野で一部の国の対立が完全には解消されていないからだ。昨年に続く合意の1年先送りとなれば、交渉が“漂流”する懸念も生じる。

 「米中関係が厳しくなると中国は周辺の国に秋波を送る。日本に対してだけでなく、インドとの関係も改善が期待できる」。

 1日の閣僚級会議の直前、日本政府高官は米中貿易摩擦の激化が、RCEP交渉を後押しするとの見方を示していた。

 だが、妥結に慎重な姿勢を示しているのがインドだ。インドは対中貿易赤字が膨らんでおり、2018年度は約530億ドル(約5兆7700億円)にも達した。RCEPが妥結し幅広く関税が削減されれば、さらに赤字が拡大しかねない。

 これに対し、対米摩擦が激化し米国抜きの貿易協定の実現を急ぎたい中国は、妥結に前向きだ。交渉が進展しないことに業を煮やした中国が、インドを除外した枠組みを他の参加国に打診したことさえあった。

 それでも日本を中心にインドを自由貿易圏に取り込むことの意義を各国に説明し、16カ国の枠組みにこだわった。

 しかし、そもそも日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)や、日米貿易協定など2国・地域間の協定と違って、RCEPは参加する16カ国の経済発展の度合いに大きな差がある。このため、関税分野だけでなく、知的財産権の保護や電子商取引といったルール分野でも各国の思惑は大きく異なり、その分、妥協点を見いだすのは難しい。

 トランプ米政権の保護主義的な政策に対抗するため妥結のムードが高まっているだけに、仮に年内妥結を先送りすれば、合意への機運が一気にしぼみかねない。

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