サツマイモの輸出が急拡大し、貿易統計によると、2018年の日本からの輸出額は約13億7900万円と08年からの10年で12倍超に膨らんだ。産地がアジアを中心に売り込みを強化し、日本産の甘い味わいが知られてきたためだ。日本であまり消費されない小ぶりなイモも、おやつ感覚で受け入れられている。
農林水産物・食品全体では18年の輸出額が9068億円とこの10年では約1.8倍で、サツマイモの伸びの大きさが目立っている。輸出先は香港とシンガポール、タイの上位3カ国・地域で9割弱を占めている。
宮崎県串間市の農業法人「くしまアオイファーム」は、香港やシンガポールなどに18年8月~19年7月の1年間で計1000トン超を出荷した。香港などでは炊飯器でイモをふかすことに対応し、小ぶりで甘みが強いパック入り商品が主力。畑であえて苗を密集させて植える農法で、小さいイモを大量生産している。
資材メーカーと共同で鮮度を保持できる袋も開発し、船便で輸送する際に傷んで廃棄するイモを大幅に減らした。池田誠社長は「日本産の甘みはアジアを中心に人気だ。今後は新規の輸出先開拓も進める」と話す。
欧米に販路を求める動きもある。JAなめがたしおさい(茨城県)は、カナダへの輸出を17年に開始。現地に焼き芋用のオーブンを運び、スーパーなどで焼きたてのイモを実演販売している。
今夏にパリで有名料理店のパティシエらに味わってもらったところ「ぜひ使いたい」と好評だったという。JAなめがたしおさいの金田富夫営農経済部長は「ヤキイモを世界共通語にし、農業を盛り上げたい」と意気込んでいる。