海外情勢

観光インフラを軍事転用か 中国、カンボジアに滑走路や桟橋整備

 カンボジア南西部コーコン州で開発が進む観光インフラをめぐり、中国が軍事転用するとの疑念が持ち上がっている。カンボジアの海岸線の約2割に及ぶ土地を中国企業が99年契約で借り、海辺のリゾートに不釣り合いな規模の滑走路や桟橋を整備。中国は巨額投資でカンボジアへの影響力を強めており、その動きを米国も注視している。

 首都プノンペンから西に約200キロのコーコン州ダラサコル。中国企業が来年の開港を目指して国際空港を造成し、タイ湾に面した海岸近くで約3200メートルの滑走路の工事が進む。

 滑走路の長さはプノンペンの空港をしのぐ。一部外国メディアは「民間機には不要な長さだ。中国空軍機による使用に耐え得る」と報じた。

 カンボジア政府は2008年、一帯の約4万ヘクタールを中国企業に99年契約で貸与した。約500メートルの桟橋を持つ港の建設も進んでいる。中国海軍の駆逐艦などが十分に寄港できる設備とされる。

 もし中国が利用すれば、南シナ海で領有権争いを抱えるベトナムの背後から南シナ海に進出する足場にできる。また、マラッカ海峡を含む重要なシーレーン(海上交通路)で中国船舶の防衛拠点にもなり得る。

 中国には軍事拠点として使用する意図があるのではないか-。中国の海洋進出に対抗姿勢を示す米国のペンス副大統領は昨年11月、カンボジアのフン・セン首相に書簡で問い合わせた。フン・セン氏は「国内に、いかなる外国軍の基地設置も認めない」と否定。リゾート開発を進める中国企業の現地幹部ワン・チャオ氏も「純粋に観光目的のプロジェクト。自然が豊かで美しい海岸線もある」と強調する。

 ただ、今年7月には別の疑惑も浮上した。米紙ウォールストリート・ジャーナルが、コーコン州南方の港湾都市シアヌークビル郊外にあるカンボジア海軍基地の一部を、中国が使用できるとの秘密合意が結ばれていたと報じたのだ。

 両国は秘密合意の存在を否定したが、カンボジアの中国傾斜はさまざまな臆測を呼んでいる。米国防総省は6月発表の報告書で「カンボジア沿岸部で中国が軍の駐留を模索しているとの報道を、引き続き憂慮している」とくぎを刺した。(ダラサコル 共同)

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