たびたび健康不安説が浮上するフィリピンのドゥテルテ大統領(74)が、今度はバイクで事故を起こす不運に見舞われた。日本滞在中に痛みが悪化し1日足らずで帰途に。最近、筋肉の力が弱くなる病気を告白し「満身創痍(そうい)」状態で、健康への懸念が消えない。
「脊柱の耐えがたい痛みのため日本での旅程を短縮する」。パネロ大統領報道官がドゥテルテ氏の突然の帰国を発表したのは10月22日午後、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」が終わって間もなくのことだった。
同日未明に日本に到着し、ホテルで起床して歯を磨いていると腰のあたりに痛みが走ったという。夜の祝宴は欠席し、その日のうちに帰国する慌ただしさだった。
パネロ氏によると、痛みの原因は同16日、首都マニラの大統領警護隊の敷地内で起こしたバイク事故。夜中にバイクを乗り回し、停車後にバランスを崩して肘から転げ落ち、かすり傷やあざができた。
過去にもバイク事故で腰を痛めたドゥテルテ氏。だが今回帰国する途中、同行していた側近に「バイク乗りなら1回や2回は事故を経験する。バイクに乗れないなら生きていけない」と懲りない様子を見せたという。
同5日の演説では、筋力が低下したり疲れやすくなったりする「重症筋無力症」を患っていると明かした。これまでにも手足の血管が詰まる「バージャー病」や食道の粘膜が変質する「バレット食道」のほか、片頭痛、多汗症に悩まされていると公表している。
地元紙記者は「病気は仕方ないが、バイク事故は軽率。公務に支障が出始めると政権運営が不安定になる」と分析した。(マニラ 共同)