海外情勢

中国、高齢化加速で「時間銀行」導入進む

中国新聞

 高齢化が加速する中国では、高齢者ケアが社会の関心事となるなかで、「相互扶助」の考えに基づく「時間銀行」の導入が進んでいる。

 時間銀行は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の専門研究員だった米国人のエドガー・カーン氏が1980年代に(「タイムダラー」として)提唱したもの。ボランティアとして公益活動に従事した時間を“ため”、自らが支援を必要としているときに他者から公益活動を受けることで“引き出す”仕組みだ。

 中国で時間銀行は主に、高齢者の中でも比較的年齢が低い人や若年者が、とりわけ独り暮らしの高齢者のケアを行ってその時間をため、自らが高齢者となったときに同様のサービスを得られることを指す。1998年、上海市虹口区に「労務銀行」が“開業”したのを皮切りに、各地で高齢者ケアの重要な手段の一つとなっている。

 北京市で先ごろ「2019『時間銀行』研究会」が開催され、北京大学人口研究所の調査によると、中国では「高齢者の中でも年齢の低い層による高齢者ケア」が発展の方向性で、「政府主導型」を基礎に「社会組織主導型」と「企業主導型」が補い、「政府と社会組織の共同運営」がさらなる補強の役割を担っているという。

 ただ、時間銀行により提供されるサービスは専門化されたものではなく、概念があいまいで、普及も十分とはいえない課題もある。同大老年学研究所の陳功・所長は「時間銀行の発展には時代変化を考慮し、差別化や地域の実情に応じた取り組みを行うことが必要」と指摘する。(中国新聞社)

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