海外情勢

印パ国境の巡礼路開通、関係改善の糸口に

 インドのシーク教徒が開祖生誕550年の節目にパキスタンにある寺院を訪問できるよう、国境をまたぐ形で建設された巡礼路「カルタールプル回廊」が先ごろ、開通した。カシミール地方の領有権をめぐり緊張関係にある両国が少数派信者のために協力し、ビザなしでの巡礼を認めた。関係改善の糸口となることが期待されている。

 インド側はシーク教徒が多く住む北部アムリツァルの郊外に新たに建設された巡礼者用施設で、モディ首相も出席し開通式を開催。式典に先立つ関連行事でモディ氏は「パキスタンのカーン首相の理解に感謝する」と表明した。開通式後、最初の巡礼団が約5キロの回廊を通ってパキスタンに渡った。パキスタン側では寺院で開通式が開催され、各地から多くのシーク教徒が出席。カーン氏は演説で「これが始まりとなり、両国間の関係改善につながることを期待する」と述べた。

 シーク教徒は世界に2000万人以上いるとされる。多くの信徒が暮らすパンジャブ地方は1947年の両国の分離独立時に分断され、寺院はパキスタン側となった。開祖ナーナクは16世紀に寺院周辺にコミュニティーを設け、死去するまで18年間暮らしたとされる。

 両国の合意文書では、毎日約5000人が日帰りで寺院を訪れることができるとしている。(パキスタン東部カルタールプル 共同)

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