海外情勢

AI冷戦、日米欧で中露対抗を NATO前事務総長単独インタビュー

 米欧の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)のアナス・フォー・ラスムセン前事務総長が19日、都内で産経新聞の単独インタビューに応じた。米中が人工知能(AI)をはじめとした「ハイテク冷戦」を繰り広げるなか、「自由で民主主義的な社会が勝者になることが必須」と述べ、そのために日米欧がこの分野で協力を強化する重要性を強調した。(宮下日出男)

 ラスムセン氏は民間非営利団体「言論NPO」主催の国際会議に出席するため来日した。

 ルール作りで協力

 先端技術は民生、軍事両分野ともに世界で覇権を握る上で重要な要素。ラスムセン氏は「中国やロシアの専制者が情報や戦争、安全保障で世界の規範や標準を確立する」ことに危機感を示し、日本と欧州は「個人データ保護に対するアプローチが同じ」であるとして、ルール作りなどを念頭に、一段と協力を深めることへの期待感を示した。

 NATOは近年、テロやロシアの脅威への対処を中心に取り組んできたが、中国も課題になりつつある。ラスムセン氏によると、12月初めにロンドンで予定されるNATO首脳会議では初めて「公式」に中国との関係について議論する見通しだという。NATOと日本の一段の協力促進についても、中国への牽制になるとして歓迎した。

 自衛隊の活動有益

 日本に対しては、国連の平和維持活動(PKO)など国際的な軍事活動で「一段と責任を担うことを支持する」と期待を表明。日本の国内問題への干渉を避けつつ、「憲法改正で自衛隊がもっと積極的に国際的活動に参加できるようになる」のは「国際秩序や平和と安定にとって有益だろう」と述べた。(宮下日出男)

 アナス・フォー・ラスムセン氏 デンマーク出身。同国首相(2001~09年)などを歴任し、09~14年、NATO事務総長。

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