経済産業省は、10万円以下の後払い決済について、業者としての登録に必要な資本金などの要件緩和を検討していることが26日、分かった。金融とITを融合したフィンテック分野のベンチャー企業が参入しやすくすることで、多様な少額キャッシュレス決済の手段が生まれ、消費者の利便性向上と利用促進につながるとみている。来年の通常国会で関連法の改正案を提出する見通し。
後払い決済を手掛けるためには割賦販売法で定められた登録業者となる必要がある。現在は大手のクレジットカード会社を対象として想定しているため2000万円以上の資本金が必要となるなど、高い条件を設けている。
見直し案では少額決済を手掛ける企業に関し、必要となる資本金の条件をなくすほか、純資産面では登録時に条件を満たさなくても、5年以内の到達見通しやグループ全体の達成で認める方向で調整する。
併せて利用者の与信審査では年収や債務で判断する従来の基準を改め、購買履歴などのビッグデータを活用した手法の導入を見込む。「人工知能(AI)など技術革新が進む中、時代に合った仕組みを取り入れたい」(経産省)という。報酬を得る手段が最近は多様化し、一律に年収などをベースにした基準が機能しにくくなった背景もある。
課題は要件緩和による悪質な事業者の進出阻止だ。経産省は、登録認定時に与信審査の手法やこれまでの返済延滞率を確認し、登録後も定期的な報告を義務付ける考え。将来的には金融庁と連携し、チャージ機能など事前決済について定める資金決済法などとの横断的な法整備を目指す方針だ。