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消費税増税で際立つ国の税収増 閉じる「ワニの口」 (2/2ページ)

 一方、納税者の視点に立てば、国の税収が増えることを喜んでばかりもいられない。

 個人や企業など国民全体の所得の規模を示す国民所得に対する一般会計税収の比率は令和元年度で約15%の見通し。これに地方税と社会保障負担も考慮した国民負担率は約43%にもなる。国民負担率は平成に入ってから30%台後半で推移してきたが、消費税増税があった26年度を境に40%台前半で推移するようになった。

 日本の国民負担率は、50%を超える国も多い欧州の水準と比べると決して高いわけではない。ただ、少子高齢化で公的年金の財政健全性が損なわれることや、医療費の増加を背景とした医療保険の危機などが指摘されるなか、負担だけが増えていけば国民の不安が高まることは確実だ。

 大和総研は昨年秋のリポートで、平成23年から令和2年にかけての10年間で、4人家族で年収1000万円の共働き世帯の可処分所得は45万円以上減ることになると試算した。このうち今回の消費税率引き上げによる可処分所得の押し下げ効果は7万5700円。このほかにも子供手当ての支給額の減少や厚生年金保険料の引き上げなど、消費者生活に影響を与える施策が行われてきたことが影響したという。

 リーマン・ショック後、企業業績はおおむね好調だったが、このところは米中貿易摩擦などの不安材料が積み重なっている。国際通貨基金(IMF)は10月の世界経済見通しで「世界経済の活動のペースは引き続き弱い」と分析しており、今後、日本企業の業績や賃金が弱含めば、国民の消費生活にかかる税や社会保障の負担が重みを増すことは間違いない。(小雲規生)

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