数字から見えるちば

英語学習、全国3位 五輪・パラ控え必須のおもてなし ちばぎん総研研究員・大塚裕美

 総務省統計局が実施した平成28年の社会生活基本調査によると、過去1年間に英語学習に取り組んだ千葉県民の割合(行動者率)は、全国3位(14・6%)となっている。東京五輪・パラリンピック決定前の前回調査(平成23年)と比較すると、3・5ポイント(上昇幅は全国4位、全国平均は2・3ポイント)上昇し、県民の英語学習に対する意欲が高まっている。この背景には、東京五輪・パラ開催に向けた機運向上のほか、インバウンド観光客の増加や企業のグローバル化などがあるものとみられる。

 東京(1位)、神奈川(2位)、京都(4位)など、全国上位には東京五輪・パラの競技開催地や、外国人に人気の高い都府県が並んでいる。これらの地域では、観光案内板の多言語表記やWi-Fi環境の整備など、訪日客の受け入れ環境は改善しつつある。しかしながら、観光庁が実施したアンケートによると、外国人は「施設などのスタッフとのコミュニケーションがとれない」ことで一番困ったと回答しており、スタッフの語学力向上はさらなる課題だ。

 千葉県では、東京五輪・パラの競技開催を見据え、英語を中心に「通訳ボランティア養成講座」「外国人おもてなし語学ボランティア育成講座」を県内各地で開催している。自治体でも、ホストタウンへの登録をきっかけに、山武市が「シンハラ語(スリランカの公用語の一つ)教室」、流山市が「オランダ文化・オランダ語講座」を開催するなど、異文化理解の取り組みに積極的だ。

 また、教育現場では、平成23年度から小学5、6年生が「外国語活動」に取り組んでおり、外国語はより身近になっている(来年度からは対象が3、4年生に前倒しされ、5、6年生では「外国語(英語)」が正式な教科となる)。

 東京五輪・パラが開催される来年は、培ってきた英語力を発揮すべき年になる。JR東日本をはじめとする全国の交通事業者などでは、乗客にも助け合いを呼びかける「声かけ・サポート運動」を始めているが、困っている外国人などに英語などで積極的に声かけする「心のバリアフリー化」を合わせて進めることで、内外から訪れる人に、千葉県の良い思い出を持って帰ってもらいたい。そうした地道なおもてなし活動が千葉県のブランド力底上げにもつながっていくはずだ。(寄稿)

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