海外情勢

英総選挙、12日に投開票 EU早期離脱のカギは「保守党の単独過半数」

 【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱問題が主要争点となる総選挙の投開票が12日に実施される。ジョンソン首相率いる与党・保守党が単独で過半数の議席を獲得すれば、英国は早期離脱の実現に向けて前進する見通し。ただ、過半数に届かなければ、離脱問題は暗礁に乗り上げる可能性がある。

 保守党は、来年1月末までに離脱するため、EUと合意した離脱協定案の関連法案の審議を12月中に再開する公約を掲げる。英調査会社ユーガブは保守党が単独で過半数の議席を制すると予想しており、保守党関係者は「離脱は目前」と期待を込める。しかし、ジョンソン氏は10日、「(保守党の優勢を示す)世論調査は誤っている可能性もある。今回の総選挙は接戦だろう」と楽観視しなかった。その上で「過半数の議席なしに、離脱の実現は厳しい」と有権者に保守党への投票を呼びかけた。

 ジョンソン氏が警戒するのは、追い上げを見せる最大野党・労働党の存在だ。労働党は、離脱方針の是非を国民投票で問うことを公約に掲げ、保守党による過半数の議席獲得を阻止しようとしている。ユーガブによると、6日時点の保守党の支持率は43%で、後を追う労働党は33%と10ポイントの差がついた。ただ、両党の差は11月1日時点で12ポイント開いており、労働党は保守党との差を徐々に縮めている。

 労働党は、離脱問題をめぐり、残留も離脱も訴えない党の方針が「中途半端」と有権者の批判にさらされてきた。一方で、患者の負担なしで医療を受診できる英国の国営医療制度「NHS」の予算を260億ポンド(約3兆6300億円)拡大する公約を発表し、医療問題に関心が高い有権者の支持を集めている。労働党のコービン党首は10日、「(投開票の)12日はNHSを救う日だ」と訴えた。

 NHSをめぐっては、ジョンソン氏が選挙活動中、病院のベッドが足りずに床に寝かされる男児の写真が写ったスマートフォンを記者に向けられたところ、写真をすぐに見ようとしなかったことで批判されている。保守党政権がNHSへの公的支出を抑制したことで、医療サービスが低下しており「保守党は医療問題を軽視している」(有権者)と指摘される。労働党関係者は「医療政策で保守党から票をどれだけ奪えるかが勝負だ」と分析した。

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