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韓国訪日客減少、多角化で対応 欧州や豪にシフト、観光客誘致に向け営業を強化

 日韓関係の悪化による韓国からの訪日客の減少は11月で5カ月連続となり、今後も続く可能性は高い。来年の政府の観光目標の2本柱の一つの観光客数に悪影響を及ぼすのは確実だ。もう一つの柱である観光客による消費額については、韓国客は滞在日数が短いことなどから「全体では大きな影響はない」との声も聞かれる。一方、観光や消費の現場ではすでに、東南アジアや欧米からの観光客誘致に向け営業を強化するなど多角化を図る動きも出始めている。

 20人前後が乗るどんこ舟で水路「掘割」をめぐる「川下り」やウナギのせいろ蒸しが人気の福岡県南部の柳川市は近年、観光客の増加に沸いていた。2017年には訪日客の増加で、統計が残る1969年以降最多の141万人を記録した。国・地域別では、ここ2年は韓国からが半分近くを占め、台湾を抜いて最多となっていた。ところが8月以降、韓国人が急減した。それでも、同市観光課の担当者は「韓国以外の外国人観光客の動きはそれほど変わっておらず、市全体として『とても困っている』という状況ではない」と語る。

 阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリングの博多阪急(福岡市)は日韓関係の悪化で韓国人客が減り売り上げに響いたが、全体で見ると外国人観光客(インバウンド)の売り上げの1割に満たず、影響は小さいという。

 一方で、滞在日数が長く消費額も大きい欧州からの訪日客を呼び込むなど多様化に向けた動きが活発化してきている。

 全日本空輸は、来年3月29日からの新ダイヤで羽田空港発着の欧州路線を拡大。欧州の発着都市数は、北米や中国とほぼ同じになるという。平子裕志社長は「消費額で期待できるのが、欧州や豪州からの訪日客と考えているので、(欧州の新路線就航で)訪日客の消費額拡大目標に貢献できる」と胸を張った。

 すでに韓国人客以外で盛り上がる観光地も。海鮮食材や果物の食べ歩きができる黒門市場商店街(大阪市中央区)では、今夏まで韓国からの訪日客に人気の観光スポットだったが、現在は様変わりしている。韓国人客は7~11月にピーク時の1~2割まで減少したが、一方で今秋開催のラグビーワールドカップ以降は欧米など他地域からのインバウンドの姿が目立っているという。

 黒門市場商店街振興組合の吉田清純副理事長は「今後も東京五輪・パラリンピックや大阪・関西万博など国際的イベントが続く。幅広い地域からお客さんを受け入れるため態勢の整備や情報発信を進めたい」という。

 韓国人客の減少は今後も続く見通しだが、福岡商工会議所の藤永憲一会頭は「一企業、一地域で見れば苦しい所はあるだろうが、マクロ的に見れば大きな影響はない。(日本離れは)韓国自体も大変だ。今後、少しずつ復活していくのではないか」と話した。

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