海外情勢

イランデモ 低所得層困窮 大量死者 武力弾圧に強まる不満

 イランで突然のガソリン値上げを機に反政府デモが起きてから1カ月が過ぎた。治安部隊の大規模弾圧で200人以上が死亡したとの見方があり、丸腰の市民に治安部隊員が発砲したとの証言も相次ぐ。米国の制裁で生活が困窮する低所得者層の怒りは武力でねじ伏せられたが、再び燃え広がってもおかしくない情勢が続く。

 西部ケルマンシャー州ジャバンルドのデモに参加したレストラン店員、アフシンさんは11月16日、治安部隊との衝突に遭遇した。治安部隊は催涙弾などで追い払おうとしたが、次第に警棒で参加者を殴りつけるなど実力行使に出た。いくつかの通りで銃声を聞いたという。

 妻とともに3歳の娘を育てる薄給のアフシンさんは電話取材に「物価はひどく高く、多くの者が仕事もない。ガソリン値上げで全ての品物が高くなるだろう。暮らしていけない」と窮状を訴えた。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは少なくとも208人が死亡したと主張。イラン当局は「真っ赤な嘘」(司法府報道官)と反論したが、いまだ全体の死者数を公表していない。

 当局はデモ発生直後から約1週間、インターネットを全土でほぼ遮断し、デモ情報を厳しく統制した。犠牲者遺族に周囲への口止めを命じたとの報道もあり、弾圧の実態を隠蔽(いんぺい)しようとしているとの疑念は拭えない。

 ネット復旧後は、治安部隊員がデモ隊に発砲する様子を捉えたとする映像が拡散した。ヘリから銃撃を加えたり、建物屋上から狙撃したりしたとされる動画も出回った。

 イラン指導部は、米国などの敵対国の支援を受けた「悪党」がデモを過激化させたとの説を展開。外部勢力に責任転嫁を図る指導部の常套(じょうとう)手段で、米中央情報局(CIA)の関係者8人を拘束したなどと発表した。

 イランでは12月、来年の予算案が国会に提出された。制裁で原油収入が急減し、国民の税負担が重くなるとの見方も出る。アフシンさんは「ひどい状況に黙っていられない。デモがあればまた加わる」と語気を強めた。(テヘラン 共同)

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