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「まぐれ当たり?」といわれたミクシィも 成功する新規ビジネスが使う“ズラシ戦略” (1/2ページ)

 コンサルタントは課題解決のプロだ。だが、そもそも依頼する「課題」が本質的なものでなければ、本領は発揮できない。マッキンゼー出身で、フィールドマネージメント代表の並木裕太氏は「課題が『幹』か『枝葉』かを見定めなければ、事業は成功しない。そのために僕はある手法を編み出した」という――。

 週に一回は「だらだら」話す

 だらだらと話す。

 これは僕が仕事で大切にしていることです。

 コンサルタントは企業の持つ「本質的なアセット(資産)」がわからなければ事業を成功に導くことはできません。そのためには中で働く人との継続したコミュニケーションとその絶対量を増やすことです。

 何が好きで、何が嫌いなのか。どんな理由で、過去に重要な意思決定をしてきたか。僕はクライアント企業の経営者と週に一度くらいのペースで、特にゴールを設けることなく話し合っています。経営層が難しければ社員の方でもいいです。

 ただし、その企業のことをよく知る経営者と話した方が本質的なアセットに早くたどりつける可能性が高い。中で働く人のリアルな情報からどんな会社なのかをつかむことが目的です。

 でも、コンサルタントの多くの仕事では、本質的なアセットに到達しづらい。それは与えられた課題に対する答えを出すだけの単発のプロジェクトがほとんどだからです。全体像がわからないから、その問いがクライアントにとって「重要な課題(幹)」なのか、それとも「瑣末(さまつ)な課題(枝葉)」なのか、判断することができなくなってしまう。

 「真に感謝される」ことを実感したかった

 僕もマッキンゼーで働いていたとき、担当するプロジェクトによっては「自分の仕事の成果がよくわからない」と感じることがありました。一生懸命に解いている課題が、幹か枝葉かもわからず、手応えがない。しかも問いの答えを出し終わったらコンサルタントの役目は終わり。その後の成果は、数カ月後に新聞記事をたまたま読んで「あぁ、あの事業、成功したんだ」と知るくらいのものもありました。

 これではクライアントから「真に感謝される」仕事はできない。もっとコンサルティングというサービスは進化できるはずだ。そんな思いがフィールドマネージメントの創業につながっています。

 そして起業後。僕は大手コンサルの3分の1のリソースで、3つの提案をし、3倍の期間クライアントと一緒にいるという手法を試みることにしました。

 たとえばAという課題を3カ月で解決してほしいという依頼があったとします。僕らはそれを大手と同じ人員で受け持ち、最初の3カ月でAに対する方向性を提示します。ここでは大手が300ページの完璧なパワポを用意するとしたら、クライアント企業の意思決定に必要なポイントをついた100ページのパワポでいい。

 その次の3カ月ではクライアント企業全体の課題を整理し、最後の3カ月で課題を幹と枝葉に分けて解いていく順番までを含めて提案します。3分の1のリソースしか使わないから予算も他社と変わりません。

 「トリプルキューブアプローチ」と「ズラシ戦略」

 「トリプルキューブアプローチ」と名付けたこの手法をクライアントに提案すると、多くの経営者に共感してもらい、結果が出ただけでなく、クライアントとの付き合い方も変わってきました。創業から10年経った今では継続してお付き合いしているクライアントがほとんどです。その組織の本質的なアセットもわかっているから、それを活かした新規事業の創出を手がけることも増えてきました。

 “新規事業”と言ってしまいましたが、なんだか会社の命運を賭けたような肩に力が入った言葉ですよね。だから僕たちはこれを「ズラシ戦略」と呼ぶことにしています。自分たちの得意技をほかのところで使うだけ。そうすることで新たな顧客を獲得できる可能性が高くなるのです。

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