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5→4区へ 庁舎整備費は圧縮 大阪都構想、前回との違いは

 大阪市を廃止し、特別区に再編する大阪都構想の骨格が固まり、来年11月上旬にも賛否を問う2度目の住民投票が行われる見通しとなった。平成27年5月の前回住民投票では、5つの特別区を設ける案が僅差(きんさ)で否決された。それから4年半が過ぎ、大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長は、今回の制度案について「前回よりもバージョンアップしている」と自信をみせる。

 4つの特別区へ

 前回の制度案と最も大きな相違点が区割りだ。否決された5区案を除く6区と4区の案が事務局から示され、人口バランスや財政基盤の安定性・均衡性の観点から、維新主導で4区案が選択された。

 4つの特別区名も維新提案で決定。淀川区(区域は現在の此花、港、西淀川、淀川、東淀川区)▽北区(同北、都島、福島、東成、旭、城東、鶴見区)▽中央区(同中央、西、大正、浪速、住之江、住吉、西成区)▽天王寺区(同天王寺、生野、阿倍野、東住吉、平野区)-となった。

 1区あたりの将来人口推計(令和17年)は約50万~70万人で、政令指定都市と同規模。制度移行後は大阪府が観光戦略やインフラ整備など大阪全体にかかわる広域行政を、特別区が教育や福祉など住民に身近な行政サービスをそれぞれ担うことで、府市の「二重行政」を解消するという都構想の目的は前回と変わらない。現在の24区役所は住民向け窓口サービスの事務所として存続し、区役所呼称も残る。

 新庁舎は当面見送り

 前回案とのもう一つの違いは、特別区移行に伴う庁舎整備の考え方だ。

 前回は5特別区のうち、3区が新たな庁舎建設を計画。特別区設置の初期コストはシステム経費も含めて約600億円に上るとされ、反対派が攻撃材料にした経緯がある。

 今回、公明党は都構想に賛成する条件の一つとして初期コストの抑制を維新に要望。これを受けて、新庁舎整備を見送れば、コストが361億円から47億円まで圧縮できるとする試算が事務局から示され、新設は当面行わない方針が法定協で確認された。システム経費などを合わせて初期コストは計200億円以上となる見込みだが、それでも前回よりも抑制されるとしている。

 新設を見送る代わりに、現在の大阪市役所をはじめとする既存施設はフル活用していく考え。だが4特別区のうち、執務スペースが足りなくなる2特別区が、現在の大阪市役所に一部部署を配置する方向となっており、「災害対応などの緊急時に支障が出る」と自民党は批判している。

 また庁舎整備の見送りはあくまで暫定措置で、制度移行後に特別区長が新庁舎を必要と判断すればこれを制限することはできない。結果的に初期コストが抑制されたといえるかは、移行後の帰趨(きすう)も見定めなければ判定できないことになる。

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