大阪万博に中小参加促す仕掛け作り
--今年の関西経済の見通しは
「米中貿易摩擦を受け、中国の生産活動が落ち込んでいる。結果、関西経済も輸出を中心に弱含みだ。11月の米大統領選までは対立が急に解消されることは考えにくい。中国の減速に伴い、東南アジア経済も減速している。北朝鮮、英国の動向も気がかりだ。ただ、関西はまだ内需もしっかりしている。設備投資の意欲もある。昨年10月の消費税増税も、駆け込み需要がそれほど大きくなかった分、あまり心配すべきではないと感じている」
--訪日外国人客(インバウンド)の取り込みは
「中国、また東南アジアからの訪日客数が好調に推移している。韓国からの旅行者は落ち込み続けているが、関西の観光産業は北海道、九州ほど韓国に依存しておらず、影響は軽微だろう」
--関西に多い中小企業対策は
「中小企業の経営者には、楽観的な考えは少ない。事業規模が小さいだけに、注意深く行動している。大商としてはインバウンドの取り込みや、新市場開拓などをしっかりとサポートしていきたい。大商が手掛ける企業間のマッチング事業が役に立てる。IT化や人材確保も支援していきたい。人手不足は今後も続く。関西は女性の就業率が低い。能力のある女性にもっと活躍していただく必要がある。外国人労働者の活用も重要なテーマだ」
--2025年大阪・関西万博への準備は
「万博は中小企業支援の意味でも重要だ。そこに向け、新たな技術・事業開発の波を作り出す必要がある。政府に働きかけて、中小企業が万博に参加できる仕掛けをつくりたい。万博に向け、一定の資金を提供して自由な技術開発を促すような取り組みも必要。“勝手に”やっていただける形が大事だ。新技術を実験しやすくするため、政府に一時的に規制を停止させるなどの働きかけを行えればと思う。万博で中小企業館を設置することなども、アイデアとしてある」
--大阪は統合型リゾート施設(IR)誘致に力を入れている
「大阪がIRを誘致する狙いは、経済と街の活性化、インバウンドのさらなる増加だ。単に数が増えるだけでなく、長期間滞在し、消費支出も拡大させる。事業者と地元企業が互いにウィンウィンの関係でなくてはいけない。IR事業者選定後には、事業者、経済界、行政による協議会が立ち上がる予定だ。そこで、IR事業者と地元企業が資材提供などで連携できるよう働きかけていく」
【プロフィル】尾崎裕
おざき・ひろし 東大工卒。1972年大阪ガス入社。エネルギー事業部長、社長などを経て、2015年4月から会長。同年12月から大阪商工会議所会頭を務める。兵庫県出身。