JR沼津駅付近の鉄道高架事業計画の未買収地の明け渡しを求める裁決申請を審理していた静岡県収用委員会は10日、昨年12月の第1回審理をもって結審すると発表した。
裁決申請は、鉄道高架計画を進めるために県と沼津市が未買収地の明け渡しを求めて提起した。審理対象は地権者10人が所有する同市原地区の土地計約5334平方メートルで、物件所有者は42人に及ぶ。
第1回審理は昨年12月4日に開かれ、裁決申請した県と沼津市、土地買収に応じていない地権者らの双方が意見陳述した。県収用委は「この1回の審理で裁決に必要な双方の意見は把握できた」として、結審を決めた。今後は県収用委が、明け渡し期日や補償額についての裁決を出す。
過去の事例では結審から裁決まで2~4カ月を要しているが、県収用委事務局は「今回は事案が複雑で関係者も多いので、通常より時間を要するのではないか」としている。
県収用委は補償額や明け渡し期日を裁決するものの、事業計画そのものや強制収用の是非については判断しない。地権者らが期日までに明け渡しに応じなかった場合、行政代執行による強制収用に向けた手続きが進むことになる。