変化のスピードを先取りし、これまでにない価値を生み出す鍵は、ベンチャー精神です。大企業などからベンチャー企業への投資を税制で支援し、いわゆる自前主義からの発想の転換を図ります。国の研究機関によるベンチャー企業への出資を促すことで、蓄積された研究成果や技術を新しい産業へと成長させてまいります。
第4次産業革命がもたらすインパクトは、経済のみにとどまらず、安全保障をはじめ、社会のあらゆる分野に大きな影響を及ぼします。国家戦略としての取り組みが必要です。
その基盤インフラは、通信です。5G(第5世代)、ポスト5G、さらにその先を見据えながら、大胆な税制措置と予算により、イノベーションを力強く後押しします。安全で安心なインフラが、これからも安定的に供給されるよう、グローバルな連携の下、戦略的に取り組んでいきます。
次世代暗号などの基盤となる量子技術について、国内外からトップクラスの研究者・企業を集める、イノベーション拠点の整備を進めます。
月を周回する宇宙ステーションの整備、月面での有人探査などを目指す新たな国際プロジェクトに、わが国として、その持てる技術を駆使し、貢献いたします。将来的な火星探査なども視野に、人類の新たなフロンティアの拡大に挑戦します。
Society5.0の時代にあって、教育の在り方も、変わらなければなりません。本年から小学校でプログラミング教育を開始します。4年以内に、全ての小学生、中学生に一人一台のIT端末をそろえます。企業エンジニアなど多様な外部人材を登用することで、新しい時代の教育改革を進めます。
(アベノミクス)
今般取りまとめた新しい経済対策は、まさに、安心と成長の未来を切り拓くものであります。事業規模26兆円に及ぶ対策を講じることで、自然災害からの復旧・復興に加え、米中貿易摩擦、英国のEUからの離脱など海外発の下方リスクにも万全を期してまいります。
日本経済は、この7年間で13%成長し、来年度予算の税収は過去最高となりました。公債発行は8年連続での減額であります。経済再生なくして財政健全化なし。この基本方針を堅持し、引き続き、2025年度のプライマリーバランス黒字化を目指します。
この6年間、生産年齢人口が500万人減少する一方で、雇用は380万人増加しました。人手不足が続く中で、最低賃金も現行方式で過去最高の上げ幅となり、史上初めて全国平均900円を超えました。足元では、9割近い中小企業で、賃上げが実現しています。
雇用環境が好転している今、就職氷河期世代の皆さんの就業を、3年間集中で一気に拡大します。この世代に対象を絞った求人を解禁するなど、あらゆる施策を講じ、意欲、経験、能力を活かせるチャンスを広げていきます。
兼業や副業をやりやすくするため、労働時間に関するルールを明確化します。労働施策総合推進法を改正し、大企業に中途採用・経験者採用比率の開示を求め、多様で柔軟な働き方が可能となるよう、改革を進めます。
経済社会が大きく変化する中、ライフスタイルの多様化は時代の必然であります。今こそ、日本の雇用慣行を大きく改め、働き方改革を、皆さん、ともに、進めていこうではありませんか。=(4)に続く