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和牛遺伝子、流出に刑事罰 農水省が保護強化へ法案をとりまとめ

 農林水産省は20日、和牛の受精卵や精液などの「遺伝資源」の海外流出を防ぐため、不正な売買や譲渡、取得に刑事罰を設ける法案を創設する方針を固めた。遺伝資源の不正な持ち出しを防ぐ法規制がなく、保護策の強化が指摘されていた。罰則などの詳細を詰めた上で、通常国会への関連法案提出を目指す。

 同日、農水省の有識者会議で中間報告案が了承された。中間報告案では、遺伝資源を「知的財産」と見なして保護を図り、ルールに違反した転売などの取引や生産を差し止める規制も設ける必要があるとした。欧米やアジアで人気の和牛の流出を防ぎ、輸出拡大につなげる狙い。

 このほか、受精卵や精液を不正に売ったり、譲渡した相手が国外に勝手に持ち出すなど悪質な事案には刑事罰を科す。遺伝資源が悪用されることが事前に分かれば、譲渡先の業者などに対し、遺伝資源の使用や輸出の差し止めを請求できる権利を設定する。今回の報告書をもとに、具体的な罰則など法案の策定を進める。3月上旬に閣議決定し、6月17日に法案を国会で通す計画だ。

 和牛の遺伝資源をめぐっては2018年に受精卵や精液が不正に中国に持ち出される事件があり、19年末に男性が実刑判決を受けた。だが、輸出先の国で伝染病が広がる可能性があるとした家畜伝染病予防法違反幇助(ほうじょ)などの罪となっており、遺伝資源を海外に流出させることを直接取り締まる法律ではなかった。

 中間報告案をとりまとめた有識者会議で委員を務める神戸大の大山憲二教授は20日、「日本と技術交流するなどして家畜の飼育に関して技術的にも既に高い水準にある中国へ流出すれば、日本が力を入れようとしている和牛輸出に想像ができないほど経済損失になる」と指摘した。

 今回の規制とは別に、受精卵や精液の流通履歴の記録を義務付けることを柱とした強化策を昨年6月にまとめており、家畜改良増殖法の改正案を今国会に提出する。

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