国内

賃上げ減税の適用額8%減 18年度 制度見直し効果出ず

 特定の政策目的を実現するために企業などの税負担を軽減する「租税特別措置(租特)」に関し、賃上げをした企業に対する減税額が、2018年度は前年度比8.4%減の3525億円にとどまったことが21日、分かった。政府は18年度から中小企業への減税措置を拡充するなど制度を抜本的に見直したが、政策で企業の賃上げを促す難しさが浮き彫りになった。

 財務省が86の租特の利用実績を調べた報告書をまとめた。1月下旬にも国会に提出する。

 賃上げ企業への減税は、前年度と比べた給与の増加額などについて条件を満たした場合、法人税額から一定割合を控除する制度だ。政府は18年度改正で中小企業の適用要件を緩和。適用件数は8.5%増の13万1201件だったが、1件当たりの減税額が少なく、総額は減少した。

 減税額に占める業種別の割合は、人手不足が深刻化するサービス業が20.7%で最も多く、建設業(12.1%)、卸売業(10.9%)と続いた。

 研究開発費の一部を納税額から控除できる特例の利用実績は6.7%減の6216億円だった。自動車メーカーなど上位10社で適用額の26.1%を占めるなど、一部の企業への恩恵が目立った。

 一方、中小企業の法人税率を優遇する特例の対象となった所得金額は前年度比4.1%増の3兆7662億円だった。税金を納める黒字企業が増加したためとみられる。

 租特全体の利用法人数は約126万9000社で、前年度の約123万1000社から増加した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus